見えない終着駅 |
地下駅案、出てきましたね。かなりの難工事になりそうだけど、2030年度の開業予定には影響ないのかな。工費も地下駅となれば決してお安くはないはず。参考までに30年前の上野地下駅は約700億円だったとか。
まあ素人目で見れば、地下なら雪の影響もない、凍えることなくホームで電車を待っていられる、何より地下鉄への乗り換えが便利だからイイネ!となるんだろうけど、そうは問屋が卸さない。
札幌駅の地下といえば、地下鉄、地下商業施設、公共ライフラインが錯綜、東側には創成川というオマケまで付いている上、北海道新幹線は将来的に旭川方面に延伸する計画だから、これらをすべてクリアするためには地下4~5階という大深度に新幹線を通す必要があって、これは件の上野地下駅よりもさらに深い。こりゃ大変だわ。
一度造ったモノは取り返しがつかないわけで、JRには地下駅のメリットとデメリットを慎重に検討してから結論を出してもらいたいものです。増結・増発のネックとなり、二進も三進もいかない新千歳空港駅の二の舞にだけはならないように。
東京から札幌に戻って、痛感しているのは札幌市民が出不精なことです。以前住んでいた中央線沿線には海外旅行リピーターが多くいました。成田空港の両替所で並んでいると聞こえてくる中高年女性の海外旅行自慢話は、吉祥寺の喫茶店でもいつも耳に入ってきます。海外旅行に行かない中央線住民もいますが、出不精ではなく、ハイキング好きで早朝の奥多摩行きは彼らで満員でした。ハイキング文化というのが東京の山の手や多摩地区にあります。札幌にはそれもありませんね。
出不精も昔より酷くなっていると思います。40年前ぐらいは国鉄主催で「すずらん旅行団」という団体旅行が毎年ありました。札幌から特急を乗り継いで、九州の別府、大宰府天満宮、阿蘇まで行っていました。岡山まで新幹線で、そこから583系「月光」で博多まで行くという旅程表を駅でよく見た記憶があります。あの頃の札幌市民は今よりも旅行してました。青函連絡船もいつも賑わっていました。
最近の札幌、特に駅周辺は地下と高層に向かって次々と開発が進む一方で、駅前通り沿いをはじめ地上部の閑散ぶりは如何ともし難いところです。札幌駅と大通を結ぶチカホの開通が、さらに拍車をかけた感じですね。
かつての日劇横を行く東海道新幹線の眺めよろしく、札幌駅に進入する新幹線の絵づらが、地上の活気を取り戻す特効薬になるとは言いませんが、新幹線を単なる交通機関としてだけでなく、街が発展する上での重要なツールとして考えた場合、新幹線までもが地底に引き込まれてしまうのは、何とも勿体ないというのが正直なところです。新青森や新大阪のようにターミナルとかけ離れた場所に駅を配置せざるを得ないならともかく、みすみす千載一遇のチャンスに蓋を被せてしまってるような気がしてなりません。