道内都市間輸送のエースも今やベテラン選手。
1997年デビューのキハ283系は今年26年目。制御付き自然振子装置、リンク式自己操舵台車、直結4段+パワーオン制御といった数々の新機構を装備した”スーパー”ディーゼル特急も、ついに来年3月のダイヤ改正で、定期列車の運用から外れることがリリースされてしまいました。
ちなみにこのモデルには、KATO製品ならではの「振り子機構PAT.」が搭載されています。
1+2列配置の大型シートを装備するキロ282型。ツインクルレディのシートサービスがなくなったのは寂しい限りですが、ハード面では今でも国内最高峰クラスのグリーン車と言っても過言ではなかったのですけどね。これも今となっては過去の思い出となってしまったのは残念‥
独特なサウンドを奏でる、355PS機関の N-DMF11HZAと直結4段・パワーオン制御の液体変速機 N-DW18のコラボレーション。進段する際に聞こえる掴みどころのないような音色は、一気に進段していくキハ261系の N-DMF13HZLと N-DW16Aの組み合わせとは明らかに異なります。
同じ北海道であっても、札幌と道東では風景の広がりも時間の流れも違う...札幌に住むようになって、特にそれを強く感じるようになった気がします。だから僕らは道東を目指して旅に出るんですね。
「おおぞら」に乗ると、徐々に道東に近づいていることを実感するポイントが幾つかあって、その最初が新狩勝信号場。日高山脈を貫く石勝線から、左右にスラロームしながら新得の駅に向かって駆け下りていく車窓に移り変わった時、文字どおり石狩国から十勝国に入ったことを実感するのです。
畑と呼ぶには広大すぎる十勝平野の巨大なパッチワークの中を駆け抜けていくと、やがて列車は厚内の駅を通過して太平洋岸へ。ここが言わば第二のポイント。古びた防波堤の向こうに続く寂浜には、何本も竿を立てた釣り人の姿。内陸側には名もない湿原と幾条もの小さな流れ。「ああ、道東だな」と背筋に心地よいゾクゾクが走る瞬間です。
そして「おおぞら」は、無数のポイントを渡り釧路駅の1番線へ。その新富士寄りにある切れ込み式の旧荷物積卸ホーム。釧路にキター!と思わせる、実はここが第三のポイント。旧型客車を流用した簡易宿泊施設「ツーリングトレイン」が置かれていた頃が懐かしい。
今でも札幌駅でキハ283系のエンジンサウンドを耳にすると、釧路湿原はじめ、尾岱沼、養老牛温泉、別寒辺牛湿原、根釧原野、落石岬、春国岱 etc.といった、かつて訪れた道東の光景が目に浮かんできます。キハ261系への世代交代が進んでいるとはいえ、今でもキハ283系「おおぞら」は道東旅のイメージリーダー。LED式ヘッドマークのタンチョウの舞いも旅心をくすぐりますね。
深雪の石勝線、遥か地平線まで続く大雪原、そして炉端での一杯、いや花咲線のディーゼルに揺られながら缶ビールをやるだけでいい...冬の道東もまた魅力が満載なのであります。